診療案内

炎症性腸疾患(IBD)

大腸や小腸に炎症や潰瘍ができる原因不明の病気

大腸や小腸の粘膜に慢性の炎症、潰瘍ができ、腹痛・下痢・下血・血便などの症状がでる原因不明の病気です。
主なものに「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」の2つの疾患があります。
「クローン病」は消化管のすべての部位に起こりうるのに対して、「潰瘍性大腸炎」は大腸にしか起こりません。
両者とも良くなったり(緩解)、悪くなったり(再燃)を繰り返し、長期にわたる治療が必要です。

  • 潰瘍性大腸炎
  • クローン病

潰瘍性大腸炎

初期では腹痛とともに、ゼリー状の粘液が排便時に多くなり、下痢になります。
次第に粘液の量が増え、粘血便や血便が出でるようになり、ひどくなると1日に10回以上になることがあります。
ほかに発熱、食欲不振、体重減少等が起こります。

治療法

基本的には「薬物療法」「食事療法」などの内科的治療で、症状をコントロールします。重症、重い合併症が生じた場合などは手術が選択されることもあります。当院では、新しい治療法「白血球除去療法」も行なっています。
また、入院ベットを完備していますので入院での治療、手術も当院で行っています。

薬物療法 症状や病変範囲に合わせて、基準薬である5-ASA製剤(ペンタサ、サラゾピリン)を中心にステロイド剤や免疫抑制剤、生物学的製剤を組み合わせて投与します

「白血球除去療法」とは?

“炎症のもととなる炎症細胞を、血液中から取って、炎症反応を抑制しよう”という従来とは異なる方法です。
具体的には、ろ過装置の中に血液を通して、問題となる炎症細胞を除きます。つまり、炎症細胞をドリップし、炎症細胞を取り除いた正常な血液を、体内に戻してあげるのです。片方の腕から毎分30mlのスピードで血液を抜いて、カラム内に循環させ、もう一方の腕に戻します。
所要時間は、約1時間で、計算上1.8Lの血液(全血液の約1/3)が、ろ過されます。白血球除去療法重大な副作用がなく、効果が得られる点に、この治療法の最大のメリットがあります。
主な副作用は、たちくらみです。潰瘍性大腸炎の重症・劇症の患者さん、難治性の方などに適応がありますが、悪くなり始めが、最も効果的です。
下痢の回数が5回以上、血便の持続、37℃以上の熱発、ステロイドの離脱が困難などは、特におすすめできる治療法です。

治療説明

クローン病

患者さんによって、また潰瘍などが出来た場所によって様々な症状がありますが、おもに腹痛・下痢・発熱・下血、また栄養吸収障害に伴う体重減少・全身倦怠・貧血などがあります。
腸管の瘻孔・狭窄・膿瘍や痔瘻、肛門潰瘍などの肛門部の病変、関節炎など多彩な症状を呈します。

治療法

腸管におこっている炎症を抑えて、症状の軽減をはかります。
そして、栄養状態を改善するため、「薬物療法」と「栄養療法」を組み合わせたコンビネーション療法が中心となります。


費用について

潰瘍性大腸炎、クローン病は、国から「指定難病助成制度」の対象疾患に指定されていますので、 認定されると医療費自己負担分の一部または全額が国や県から助成されます。

※特定疾患…原因不明で、治療方法が確立されていないなど治療が困難で、病状も慢性に経過し経済的にも精神的にも負担が大きく、症例数が少ない疾患